この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
依頼者は、70代後半に入り、遺言書の作成を考えていた。財産の中に、田舎の代々受け継いできた田畑があったが、田舎過ぎて売ったり貸したりしようとしても買い手や借り手が現れないようなところで、固定資産税だけは払わなければならないところであった。このため、相続人である子ども(男3人)のだれもが相続しないと言って揉めるのではないかと思われた。また、依頼者の家は依頼者で15代目となる家だったが、依頼者が若い頃に都会に出て来て、そこで子どもたちを育てたので、子どもたちは誰も依頼者の出身地のことをほとんど知らず、依頼者の家の墓へのお参りやお寺との付き合いを誰がしていくかでも揉めるのではないかと思われた。そこで、これらの点について揉めないような遺言書を作りたいと考えていた。
解決への流れ
公正証書遺言として、次の内容の遺言書を作成した。田舎の田畑については、子どものうちの一人に相続させることにし、その田畑を相続することを条件に、他の相続人より多い財産を相続できるようにした。お墓やお寺のことをする者(祭祀承継者)の指定については、長男、長男がならない場合は次男、次男もならない場合は三男と順序をつけてし指定し、祭祀承継者になった者にはその負担に相当するものとして一定の財産を相続させるようにした。その上で、なぜそのような内容の遺言にしたかを、付言事項として書き入れ、子どもたちが理解できるようにした。
遺言書の内容は、遺言者の希望が相続人が納得した形で実現されるように工夫して作成することが必要です。また、内容が矛盾したり、解釈が分かれるようなものにならないように注意することも必要です。(そうしないと遺言書を作ったことで却ってトラブルを引き起こしかねません。)さらに、自筆証書遺言では、形式に問題がないかの確認も必要です。これらのことから、遺言書は弁護士に相談しながら作ることをお勧めします。