この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
婚姻して20年以上経過しており、未成年の子はいないというご夫婦で、相手方である夫が不貞行為の末不貞相手との間に子をもうけ、別居をしてしまったという事案で、これ以外にも依頼者との同居中に多数の人格否定、暴言などモラハラに及んだというものです。相手方は某大手企業に勤めており一定の財産を形成していたものの、住宅ローンをはじめとする負債もあるという財産状況でした。財産分与の観点では、特に、自宅であるマンションの処分が問題になりました。
解決への流れ
調停では決着がつかず訴訟を提起して争いました。相手方が所持する財産については、依頼者のもとに届く郵便物等を手掛かりに指摘して、当初開示していなかった財産も含め、分与対象となる財産全体を開示させました。そのうえで、不動産の処分を依頼者の側でイニシアチブをとって進めることを認めさせて適切妥当な額で処分し、それを前提に高額な財産分与を認めさせました。また、不貞行為及びモラハラに伴う慰謝料についても、和解による解決が前提ではありますが、一般的な慰謝料の幅からすれば最高額に近い水準を認めさせることに成功しました。
不貞相手との間で子をもうけるなど、不貞行為事案としても悪質なものであったことを背景に訴訟内での交渉を優位に進め、最終的に財産分与慰謝料をひっくるめて総額1000万円を超える和解を成立させることに成功しました。離婚の事案はケースごとにどのような解決を目指すかが全く異なってきます。個々の事案におけるポイントを適切に拾い上げて主張することで、調停や訴訟での出発点をこちら側に有利に引き寄せ、それを背景にどれだけ優位に手続を進めていけるかというのが、相手側に帰責性が大きい離婚事案では重要な事柄のひとつと考えます。