この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
中古車の修理・販売等の事業を営む会社の代表者の方から、経営に行き詰ってしまい事業を整理したいという相談が寄せられました。会社といっても従業員はおらず、実質個人事業主に近い業態であり、直近ではほとんど売り上げも上がっておらず廃業間近という状態でした。
解決への流れ
法人破産の場合、代表者も含めて管財事件(裁判所が選任する破産管財人が財産を調査・換価し、債権者に配当する手続)になり、その場合には裁判所に予納金を納めなければなりません。予納金の額はケースバイケースで、小規模で事務処理量の少ない事案であれば比較的少額で済む場合もありますが、一般的にはさほど大きな事業規模でない場合であっても100万円を下回ることは少ないです。この点を説明しつつ、破産の申立てまでに必要な負債の額の調査、財産の調査及び確保、申立後破産管財人に業務を引き継ぐことを念頭に、要処理事項の洗い出しとこちらで処理すべきか管財人に引き継ぐべきかの振り分け等を順次行いました。この事案では実質事業がストップしていて会社の残余財産もほとんどなかったこともあり、管財人に引き継ぐ事項を少しでも減らして予納金の額を下げるよう試みることが有効であると判断し、賃借していた店舗の明渡しや預貯金、電気ガス水道等の解約など、ひとつずつ処理をしていきました。あわせて、債権者に通知を出して支払を停止しつつ、依頼者に再就職を促し、少しずつ予納金を積み立てさせました。準備を綿密にして自己破産申立てを行った結果、法人破産の案件としては、かなり少額な予納金額で抑えることに成功し、申立後の処理も管財人の要請に応じて地道に行い、無事法人の自己破産と代表者の免責決定を得ることができました。
法人ないし個人事業主の方の破産の場合、進め方は本当にケースバイケースですが、総じて多数の要処理・検討事項を丁寧かつスピーディーにこなしていく必要があります。他方で、債権者からの請求を止めつつ進捗を適宜報告することによって、債権者から訴訟提起される等のリスクを極力回避しながら無理なく予納金を貯めていくことが必要になるケースも多いです。検討事項が多くなりがちなので依頼者の皆さんにもお願いすることが多くなりやすいですが、ひとつずつクリアしていくことによって最終的に無理なく円滑に自己破産にまで持っていくことが可能です。