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京産大に「火をつけるぞ」と脅迫…深刻化する「コロナ差別」、悪質ケースは犯罪に
2020年04月10日 10時43分

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、感染者やその関係者に対する差別が横行している。

現在までに少なくとも13府県、70人以上となるクラスターが発生した京都産業大学(京都市)に対し、抗議や苦情などの電話やメールが数百件、寄せられたと報道されている。中には「感染した学生の住所を教えろ」というものから、「大学に火をつけるぞ」「殺すぞ」という予告まであったという。

また、京都産業大の学生が飲食店の入店を断られたり、アルバイトをクビになったりしたケースもあったという。愛媛県新居浜市立小学校でも、新型コロナウイルスの感染予防のため、東京などの行き来している長距離トラック運転手の子どもを登校させないよう、求めていたことがわかり、批判を受けている。

これらの行為は悪質な場合は犯罪にあたる可能性がある。その線引きはどこにあるのか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、感染者やその関係者に対する差別が横行している。

現在までに少なくとも13府県、70人以上となるクラスターが発生した京都産業大学(京都市)に対し、抗議や苦情などの電話やメールが数百件、寄せられたと報道されている。中には「感染した学生の住所を教えろ」というものから、「大学に火をつけるぞ」「殺すぞ」という予告まであったという。

また、京都産業大の学生が飲食店の入店を断られたり、アルバイトをクビになったりしたケースもあったという。愛媛県新居浜市立小学校でも、新型コロナウイルスの感染予防のため、東京などの行き来している長距離トラック運転手の子どもを登校させないよう、求めていたことがわかり、批判を受けている。

これらの行為は悪質な場合は犯罪にあたる可能性がある。その線引きはどこにあるのか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。

●『大学に火をつけるぞ』『殺すぞ』は犯罪行為

報道によると、京都産業大では、悪質なものについては刑事告訴も検討しているという。犯罪との線引きは?

「さまざまな情報が錯綜していますし、いまだ実体の見えない敵を相手にしている恐怖感からやや過剰な対応になっている側面もあるのだろうと思います。

とはいえ、クラスター発生に乗じた単なるストレス発散、誹謗中傷の類は当然のことながら犯罪になりえます。

『大学に火をつけるぞ』『殺すぞ』などという電話での発言やメール送信行為は大学に対する威力業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)にあたる可能性が高いでしょう。また人物を特定して『殺すぞ』と言っているのであれば、脅迫罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)にあたる可能性もあります」

一方、『感染した学生の住所を教えろ』という要求が犯罪になるのかどうかはケースバイケースだと思います。そもそも大学周辺に住む住民にとって、同じマンションや地域、生活圏に新型コロナ感染者がいるかどうかという情報は重要な情報ですので、この開示を求めること自体には『殺すぞ』のような違法性はないと思います。

ただ、同じ内容のメールを何度も送りつけたり、電話を頻繁にかけたり、恫喝したりということになると、先ほど述べたように威力業務妨害罪にあたる可能性があると思います」

●京都産業大の学生のバイト解雇や入店拒否は「不合理な差別」

京都産業大の学生が訪れた飲食店やアルバイト先で差別的な扱いを受けているというが…?

「これらの行為も気持ちはわかりますが、やりすぎの感も否めないと思います。

特に感染者もしくは濃厚接触者ではないアルバイト学生を、京都産業大生だからという理由だけで解雇すると不当解雇となり、慰謝料や月々の給与等の請求を受けることになるでしょう。

また、京都産業大生は一律入店拒否という飲食店の対応も不合理な差別取り扱いとして慰謝料請求等の問題にはなるでしょう。

しかし、多くの飲食店が売上減の悲鳴を上げている現状で、感染の可能性がないことをアピールしなければならない飲食店側の事情もあるでしょうから、慰謝料請求できる可能性があるといっても、実際の解決は簡単ではないと思います」

●長距離トラック運転手の子を登校させないのは職業差別?

また、愛媛県新居浜市の市立小学校が、東京などを行き来している長距離トラック運転手が保護者である2世帯に、子どもたちを登校させないよう求めていた。

「長距離トラック運転手の子どもたちが入学式・始業式を欠席させられた事案では、その子どもたちも親御さんたちも相当な精神的苦痛を被っているものと思われます。

ですので、子どもたちと親御さんたちは差別的な取り扱いについて慰謝料請求をすることができる可能性があります。教育委員会側も謝罪していますので、適切な解決がなされることが望まれます。

もっとも報道では明らかではありませんが、長距離トラック運転手だからという基準ではなく、新幹線や飛行機の利用者を含め、東京や大阪などの感染拡大地域を訪れた方のいる家庭について一律自宅待機を求めていたのであれば、職業差別という話ではなく、やむをえない対応という判断もあり得ると思います。

今後もいろいろな言動がネット上で問題視される可能性があると思います。当然、犯罪行為のような明白に違法な言動は抑止されるべきですが、誰も経験したことのない緊急事態宣言下で、現場でのギリギリの判断を行っている方々の言動・行為もあると思います。間違いは正すべきですし、謝罪も必要ですが、寛容さも求められていくと思います」

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