733.jpg
客が食べ残した「うどん」を公園に撒き散らす…威力業務妨害になる理由
2016年11月02日 09時49分

客が食べ残したうどんを公園に捨て、公園管理者の業務を妨害したとして、愛知県警東署は10月31日、うどん店店主の男性を威力業務妨害の疑いで緊急逮捕した。

報道によると、男性は10月23日未明、名古屋市内の公園で、客が食べ残したうどんをまき散らすなどして、公園を管理する市の土木事務所の業務を妨害した疑いが持たれている。3年以上前から、店から約4キロ離れた公園で、1週間分のうどんや野菜などの残飯を毎週捨てていたという。

公園近くには小学校があり、児童らが休み時間などに利用しているため、放置される度に学校職員らが清掃を実施していた。

男性は、「公園の管理を邪魔するつもりはなかった」と供述しているというが、一般的に、威力業務妨害罪は業務を妨害する意図がなくても成立するのか。冨本和男弁護士に聞いた。

客が食べ残したうどんを公園に捨て、公園管理者の業務を妨害したとして、愛知県警東署は10月31日、うどん店店主の男性を威力業務妨害の疑いで緊急逮捕した。

報道によると、男性は10月23日未明、名古屋市内の公園で、客が食べ残したうどんをまき散らすなどして、公園を管理する市の土木事務所の業務を妨害した疑いが持たれている。3年以上前から、店から約4キロ離れた公園で、1週間分のうどんや野菜などの残飯を毎週捨てていたという。

公園近くには小学校があり、児童らが休み時間などに利用しているため、放置される度に学校職員らが清掃を実施していた。

男性は、「公園の管理を邪魔するつもりはなかった」と供述しているというが、一般的に、威力業務妨害罪は業務を妨害する意図がなくても成立するのか。冨本和男弁護士に聞いた。

●さまざまなケースが「威力」にあたる

「結論から言うと、威力業務妨害罪が成立すると考えます。威力業務妨害罪は、人の業務活動、要するに人のお仕事を保護するために定められた犯罪類型です。威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立します。

『業務』というのは、人が社会生活を維持していくために行う仕事ですが、公園の管理もこれにあたります。

また、『威力』というのは、簡単に言えば、人の仕事の妨害となるような行為をあからさまに行うことです。うどんを公園内にまき散らす行為も、公園の管理者に清掃などの余計な手間をかけさせてしまうわけですから、『威力』に当たると考えます。

『威力』という言葉のイメージからすると、暴行や脅迫、物を壊すといったことを想像するかもしれませんが、判例でもさまざまなケースが『威力』にあたるとされています。

たとえば、『デパートの食堂配膳部に20匹のヘビを撒き散らした』『キャバレーの客席で牛の内臓を焼いて悪臭を充満させた』『猫の死骸を被害者の机の引き出しの中に入れた』といったケースです」

男性は「公園の管理を邪魔するつもりはなかった」と供述しているようだ。

「業務妨害罪の故意として、具体的にどのような業務をどの程度妨害するかまでを具体的に認識することまでは求められていません。

一般的に、普通の人であれば、公園内にうどんをまき散らせば、掃除の手間などで公園の管理者に迷惑がかかることは容易にわかるわけでしょう。自分がうどんを公園内にまき散らしていることさえ認識していれば、威力業務妨害罪は成立すると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る